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rain* ~BL only~

BLオリジナル小説オンリーブログ。 やおいが生き甲斐。BLは浪漫です!!

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04・・・してはいけないこと /R15

「・・・ふっ・・・」
口腔に押し込まれる熱は、確かな意思を持っていた。
力のこもった舌は、嫌がるあきらをさらに求め、深く、深く、追ってきた。
「ん・・・や・・・しゅ、う」
声は届かない。
秀也の唇は、一瞬の隙も許さないほどにあきらをむさぼっていた。

やっと唇が離れた。
抗議をこめて見上げた瞬間、涙がこぼれたのがわかった。
そのまま涙目で見上げるあきらから眼をそらし、それでも片手でグイグイと引っ張っていく秀也は、強引に自宅の玄関に引きずり込んだ。
大声を上げれば、近所の目がある。
そんなあきらの焦りを逆手に取ったのか、おかまいなく押し込められ、後ろ手で玄関のカギを締められたあげく出口を塞がれた時には、あきらの混乱は怒りに変わっていた。
「ふざけんな。そこ、どいて」
小金井の家は両親ともに共稼ぎで、秀也はカギっ子だ。
木下家は母が専業主婦だったので、よく秀也は遊びに来ていた。
そんな秀也の家を訪ねるのは、ここ最近なかった。
こんな形で押し込められるとは、想像もつかなかったが。
「ねえ、本当にどいてよ」
こんな状況になっても、あきらは秀也の行動が分からない。
今なら、機嫌が悪い幼なじみの、タチの悪いおふざけ、で、済ませられる。
なのに、秀也は何も言わない。
乱暴に靴を脱ぐと、再びあきらを引っ立てて行こうとする。
「秀也、いい加減にしろよ」
すこし、おびえていたのかもしれない。
寡黙な幼なじみが、無言でこんな乱暴をする意味が、本当に分からなかった。
けれど本能的に、何かが警鐘を鳴らす。
早く、今のうちに、なかったことにできるうちに。
けれど振り返った秀也の目が、怖いくらいに真剣だった。
「来いよ」
「なっ」
人の言葉など聞いていない、うむを言わさぬ命令口調に、あきらの怒りは爆発する。
「いい加減にしろって!これ以上はもう本気で許せないからな」
「許さなくていい」
答えは短かった。
言葉の接ぎ穂を失ったあきらは、そのままリビングへと連れて行かれた。
「・・・・!」
乱暴にソファに叩きつけられる。
身を起こすより先に、秀也が覆いかぶさってきた。
身動きが、とれない。
もがく自分に、しつこく口づける秀也は、狂っているのかもしれない。
言いようもない怖さに、必死にもがいた。
体格差は同じ歳とは思えず、難なくまとめ上げられた両手は頭上にもちあげられた。
あきらの両手を片手でつかみながら、秀也の右手はせわしなくあきらのボタンにかけられた。
「!!なにす、」
るんだよ、と言いかけて、ようやく分かってきた。
服を脱がされているのだ。
それが何を意味するのか、いくらなんでもここまでくれば分かる。
「・・・・う、そだろ、秀也」
声がかすれた。
「なあ、うそだろ、なんでこんな・・・」
答えはない。
次々とはずされていくボタンからのぞいた素肌に、秀也の制服がこすれて痛い。
「!!!」
ワイシャツをはぎ取った次は、自然と下半身に手が延ばされた。
必死に抗ったのに、どうしてか、少しも拘束が緩まない。
「秀也!」
「あきら」
悲痛な叫びは、鋭い声で制される。
混乱したあきらの目じりを、秀也の唇がふれる。
涙を、ぬぐわれたのだと、どうでもいいことを頭の隅が考える。
「もう、駄目だ。これ以上我慢が出来ない。もう、本当に限界なんだ」
泣きたいのはこちらなのに、秀也の声は震えている。
切羽詰まった言葉に込められた感情がなんなのか、あきらはもがきながらも必死に考えた。
なぜ、急に、こんな。
「・・・・・っ!」
ズボンのベルトをはずされ、一気に下着ごと下ろされた。
「し・・・んじらんない!ちょ、オイ!」
「・・・あきらっ」
「・・・・・!?」
もがけばもがくほど、普段は決して人目にさらされない部分が外気に触れているのを感じ、あきらは夢中でもがいた。
なにが起きているのか、なぜなのかはもういい。
少しでも逃げなければ、と、そのことだけを考えてがむしゃらに暴れた。
秀也にひとまとめにされた腕を、自分のワイシャツで縛りあげられたと分かった時は、恐怖ですっかり混乱した。
自由になったらしい秀也の両手が、あり得ないところに触れる。
「や・・・やめっ」
懇願だった。
「おねがい、やめて・・・!」
子供のように、ただ単語を繰り返す。
誰にも触らせたことのない熱を、一気にしごかれた。
「―――――!」
そのまま荒々しく上下にこすりあげられ、嫌だとかぶりを振った。
「やだ!やめて!秀也・・・・っぁぁっ」
ついには、その熱の先に、さらに熱いものが押しあてられる。
涙目で見おろすと、あり得ない位置に秀也の頭があった。
「しゅ、」
くちゅ、とわざと音を立てているのだろう。
熱の先を、柔らかく、熱い熱が何度もこする。
唇で弄ばれているのだと分かると、全身が恥ずかしさで燃えそうになった。
「ぁぁ・・・・や・・・・・・・」
やめて、と言おうとするのに、じらすように当てられた熱が、何度も何度も敏感な場所をすべっていく。
くちゅ、ちゅ、と粘度を増す水音が、徐々にあきらを追い詰めていく。
「や・・・あ・・・っふ・・・・」
一気に熱が集まった。
ぐ、っと力をこめられ、あきらの背筋にこれまで知らなかった何かが走った。
じんと、しびれる感覚。
「ぁ・・・ん・・・」
ちゅぷ、と水音が立てられる。
ちゅぷ、ちゅ、と、しつこいほど追いたてる水音に、あきらは何も考えられなくなった。
「や・・・やめて・・・・っぁ」
涙声は、水音にかき消される。
なんどもなんども唇と舌で追い上げられ、身をよじればよじるほど拘束は強まっていく。
他人に触れられるなどと思っていなかった場所を、容赦ない熱が包んでいる。
信じられないことに、体中の熱がそこへ集まっていくような感覚、そして背筋に突き上げる何かは、ますます激しくあきらをさいなんだ。
「・・・ぁあ・・・っ」
あえぎ声しか出なくなったあきらを、それでも秀也は許してくれない。
さすがに、どんなに刺激されてもあきらの熱はそれ以上高ぶりようもなく、おびえたままの体はついに上り詰めなかった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
執拗ないたぶりから解放され、抗う気力もなくなったあきらは、涙でゆがんだ視界で秀也を探した。
秀也は、口元をぬぐうと、あきらの視線に気づいたのか、暗い笑みを浮かべる。
「さすがに、出さなかったな」
そんな挑発ともとれる意地の悪い言葉に、あきらは抗議する力もなかった。
「俺が、ずっとなにを我慢していたか、これで分かっただろう」
「・・・・。」
「お前を、俺だけのものにできたらって、ずっと思ってた。どうしたら、俺だけのものにできるかって、ずっと考えてた。これしか、ないと思った」
なにを、言っているのだろう。
肩で息をするあきらは、秀也のつぶやきがほとんど聞き取れなかった。
けれど、なぜかその言葉だけははっきりと聞き取れた。

「次は、もう、遠慮しない」


それがどういう意味なのか考えるよりも、恐怖や怒りよりも、もっと強い感情があきらにうずまいた。

悲しくて、寂しかった。

たぶん自分は、何かを永遠に失ってしまったのだ。
いつも何気なく隣に並んだ、秀也の横顔越しに見えたあの景色はもう、二度と見られないのだ・・・。


外はいつの間にか雨が降り始めたようだ。

コンクリートに降りそそぐ雨音を、あきらはどこかぼんやりと聞いていた。


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