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rain* ~BL only~

BLオリジナル小説オンリーブログ。 やおいが生き甲斐。BLは浪漫です!!

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10・・・くすぐったいこと/R15

「抱きたい」

「・・・・。」


許可を取れと言ったのは、確かに自分だ。
そのうかつさを、あきらは心底呪った。

変なことはしないから。

そう幼なじみは言う。
しかし、男が男を「抱きたい」時点で、すでに変なことだと思うのだが、今はそんなことを言ってもらちが明かない。
「・・・ごめん、別にごまかしてるわけじゃないけど、でも、まだそういうことには抵抗があるっていうか」
偽らない精いっぱいの気持ちを届けようと思うのだが、伝わっているだろうか。

あんなことがあって以来、秀也の家に行くことはどこか避けて通っていた。
だが、今日はたまたま部屋に上がらせてもらって見る用事があったので、上がってしまったのは、うかつと言えばうかつ。
あんなことをする程追い詰められていた秀也だ、何があってもおかしくはなかったのだ。
けれど、自分はのこのこと2階まで上がってしまった。
リビングにあった、あの日押し倒されたソファを横目で見ながら。

一体、自分はどうしたいのだろう。
改めてあきらは自問する。
悩んで、一緒に考えて「そういう方向に」自分の気持ちが納得するよう努力したいのか。
それとも、以前の二人に戻れるようにしたいのか。
けれどそんな思考は、切羽詰まった声に遮られた。
「あきら」
「ちょっと、待って」
あきらの言葉は伝わっていなかったのか、秀也は思いつめた瞳のまま距離を縮めてくる。
あの日のような、怖さはない。
おびえさせないように、じりじりと我慢しながらこちらに手を伸ばしているのが分かる。

どうしよう。

「乱暴は、しない」
にわかには信じられない。
あきらの素直な性格は、その思いをすべて表情に出してしまったのだろう。
秀也がそれを見とめ、ふ、と空気で笑った。
「本当だ。もう二度とあきらに嫌われたくない」
秀也は語る。
一時期距離をとっていたころ、辛くて気がおかしくなりそうだったこと。
それでも、あきらを想いきれなかったこと。
もう自分は、あきらでなくてはだめだと確信したこと、など。
「恥ずかしい、から」
それ以上の告白は、あきらを困惑させる。
自分にとっても、秀也を避けていたあの日々はつらかった。
もう二度と御免だと、それは本当の気持だった。
「乱暴はしない、って、でも・・・どんな、風に」
聞いてみた直後、羞恥で顔をあげられなくなる。
相手は抱きたいと言っているのに、どんな、などと尋ねても、具体的な答えが返ってきたらどうするつもりだというのだろう。
やがて秀也は、かすれた声で答える。
気持ちが高ぶった時に出る、甘くかすれた声。
「服は、脱がさない」
「・・・・・。」
それなら、と、単純に思ってしまったことを、あきらは深く後悔した。


「ふっ・・・・ん・・・」
布越しに触れられるという行為は、覚悟した以上にあきらをさいなんだ。
直接ふれられない、けれど、確かな意思を持ってたどられる指先に、知らない感覚が呼び起こされるかのようだった。
秀也の唇が、耳朶に寄せられる。
すべるように唇を熱がたどり、くちゅ、と時折強く吸われた。
「ひゃ・・・っ」
思わず上がってしまった声に、秀也がくすりと笑ったのを、首に押し当てられた唇の動きで知る。
今度は別の意味で恥ずかしくなり、泣きそうな顔をしてしまった。
秀也がそれを怖い程間近で見つめ、もう一度ほほ笑んで、深い口づけを落してくる。
「・・・・・はっ・・・」
息継ぎが苦しい程、そのキスは執拗だった。
逃れようと顔をそむけると、秀也の唇がそれを追う。
引き結ぼうとした唇は、秀也の指でこじ開けられ、押し入った舌はあきらの反応を楽しむように、動きを変えていく。
くちゅ、と水音が徐々に重みを増していった。
「あ、っ・・・・んん」
髪に手を差し入れられ、逃げられない状況で受け続けるキス。
あきらの意識が遠くなりかけた時、腰のあたりに何かがあたった。
布越しでもわかる。
「・・・・っ」
かあっと耳にまで血が上る。
あきらにふれ、高まった秀也の熱が、確かな存在を押し付けている。
思わず秀也を見た。
目元をうっすらと染め、秀也は優しく笑う。
「・・・大丈夫、今日は、しない」

今日はって。

しないって、何を。

聞きたいことはキスでからめとられた。

「あ・・・あっ・・・・ふ・・・・」
秀也の指が、布の上をすべるたびあきらの背を何かが走った。
じんと痺れる熱い感覚は、知らない物ではなかった。
だんだん、自分の肌が熱くなってきたことを知る。
けれど、秀也は直接触れてこない。
「あ・・・!」
かり、と、ワイシャツの合わせ目から忍び込んだ爪の先が、あきらの胸の上をかすった。
痛みと、そのあとを追う感覚に、思わず腰を引いた。
「いや・・・」
「ぬがさないって、約束しただろ」
「で、も、そんなとこ・・・」
「いいって、言ったの、あきらだ」
そう言われてしまうと、何も言えなくなる。
でも、直接触れ合えないということは、こんなにももどかしいとは思わなかった・・・そう痺れる意識で思い、ぎくりとした。
もどかしい?
自分は、何を望んでいるんだ?
くみしかれ、幼なじみの重みを全身で預かりながら、なでられるわき腹や、時折爪を立てられる素肌の部分、そして布の間に割り込まれた指が、追い求めるもの。
「あきら・・・」
「んんっ・・・あぁ・・・」
秀也の手が、ついにあきらの一番触れられたくない場所に延ばされた。
秀也ほどではないが、かすかに熱が集まってきている。
「ここにも、キスしていいか?」
「何、言って・・・っあっ!!」
ズボンの上から、やんわりと甘噛みされ、あきらは背をのけぞらせた。
「やぁ・・・・秀也、そこ、やだぁ・・・・」
「ここ、綺麗だった」
いつかのことを思い出しているのだろうか。
秀也の愛撫は激しくなり、あきらが涙声で訴えてもその唇は笑みの形をとるばかりだ、止める気配を見せない。
「ふ・・・んぁ・・・や、やぁ・・・そこ、や・・・お願い、しゅうや・・・っ」
甘えた声を出しているのは、本当に自分だろうか。
体中が熱くて、もう何も考えられない。
「・・・あきら・・・・っ」
かすれた声が、秀也にも余裕がないことを示している。
「好きだ・・・」
「ん・・・」
ちゅ、と唇同士がふれあい、敏感な場所からの刺激が離れたことに安堵したのは一瞬で、一層質感を増した固いものが、自分の腹の上に押し付けられてることに気づいてしまった。
「や、秀也・・・なんで・・・」
わざとのように、布越しに押し当てられる。
本当に怖い程、張り詰めているようだ。
自分相手にここまで欲情している幼なじみ。
彼の言う「好き」とか「抱きたい」の意味が、実感と共に沁みこんでくる。
ああ、本当に、こういう意味で、自分は好かれているのだ。
「あきら・・・」
ちゅ、とわざと音を立て、指先に口づけられる。
「・・・ふれて、くれ」
「あ・・・・」
そのまま、秀也のズボンの上に誘導された自分の指先が、それに触れる。
「・・・あ・・・っ」
触れた瞬間、思わずのようにあげられた声は秀也のもので、あきらは何となく怖くなってしまった。
本気の本気で、秀也は俺のことが、好きなんだ。
今更のような感想は無理もない、同性だから分かる、この熱の意味。
こんなにも、自分を求められているのだと、突き付けられた気分だ。

不思議と、嫌悪感はない。

この前から、俺は不思議なことばかりだ。

こわごわと指先に力を入れる。
う、と低い声が漏らされる。
切なげに顔をゆがめる秀也を見つめながら、何故か胸の中に愛しさがこみ上げる。

秀也、・・・そんなに?

確かめてみたくなった。

本当に本当に、そういう意味で、俺が好き・・・?


気が付いたら身を起こし、布越しに秀也の熱が集まっているところへ顔を近づける。
そっと、唇を添えた。
「・・・・っ!!」
秀也がこわばるのを、唇越しに感じてしまう。
「あき、ら・・・」
苦しそうな声が自分を呼ぶ。
軽く唇を押しあてた後、急に後悔が襲い、あきらは秀也を見上げる。
泣きそうな顔をしていたと思う。
秀也も、苦しそうに眉をひそめていた。
「・・・・・・・俺、もう、あきらが離せない。・・・どうしよう?」
途方に暮れた告白のあと、強く強く抱きしめられた。
息をするのもやっとなほど、全身を強く抱きすくめられ、あきらは心で降参する。

こんな、いやらしい触れ合い、俺だって、秀也以外とは無理だ。

きっと秀也だから、こんな恥ずかしいことができた。
…してあげたいと、心から思った。

「約束だから、今日はここまでね?」

精いっぱいの強がりのあと、むさぼるようなキスが下りてきて、あきらは溺れた人のように空気を求めて口を開き、それが目当てかのような激しい口づけは気が遠くなるほど繰り返される。

とても、愛されている。

それだけは本当に、間違いがないと、確信せざるを得なかった。


あきらの負けだ。

秀也の気持ちに嘘はなく、ごまかしもない。


キスを受けながら、どこかうっとりと目を閉じる。
こうなることを、もしかしたら自分はとっくの昔に覚悟していたのかもしれない。

くちゅり、と水音が激しさを増し、互いの静かな吐息が部屋に響きつづける。


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