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rain* ~BL only~

BLオリジナル小説オンリーブログ。 やおいが生き甲斐。BLは浪漫です!!

05 ジンクスその1「鍵、折れる」 -5-

「失礼します」

がらっと扉をあけると、中では二人の男がもつれ合っていた。

「・・・失礼しました」

ぴしゃりと扉を閉める。





「いやいやいやいや待ってくれ!」
室内からあわてた声が追いかけてきたが、待つ気はない。
もう後ろも振りかえらず、その場を立ち去ることに専念しようとしていると、「待てというのに!」と中から人が飛び出してきた。
「誤解なんだ!」
「・・・僕たち何も言ってません」
冷やかにみなとが振りかえる。
健は、もう一刻も早く退場したかった。
生徒会室に、ただ、マップをもらいに来ただけだったのに。
扉を開けた瞬間、会議用の長テーブル上に、組みしかれている生徒(男)と、組みしいている生徒(男)という、カオスな景色が広がっていた。
みなとが表情も変えずにぴしゃりと扉を閉めるのを、内心、グッジョブ・・・!と頷きつつ、見なかったことにして立ち去りたかった。
だが、中から当事者(組み敷かれていた方か、逆か、興味すらない)が飛び出してきた時は、空気読めよ!と健のストレスはピークに達する。
きっとこの空気が読めない人物は、礼拝の「アーメン」のタイミング、逃すタイプ(byみなと説)なのだろうと確信した。
「みなとくん・・・!」
中から出てきた人物は顔見知りだったようで、みなとの右手に追いすがった。
「待ちたまえ!私がこんな場所で、不埒なことをしていたとでもいうのか!?」
「・・・ですから何も言ってませんって、上条先輩」
顔見知りだったことが意外だ。
みなとは冷やかな表情のまま、若干迷惑そうな目で上条とやらを見上げる。
「私が不埒なことをしたいのは君だけだ!信じてくれ!」
「・・・・・・・・・失礼します。」
「待ってくれ!そこの君も、説得してくれ!」
傍観していた健にまでお鉢が回ってきた。
巻き込まれたくないので目をそらす。自分とは違うベクトルでテンションたけー。めんどくせえ。
これもジンクスの発動の一環か、みなとの信奉者を初めて生で見てしまった。
生徒会室なんて、来るんじゃなかった。
健は激しく後悔する。
木谷にくっついていけばよかった・・・。
しかし後で悔やむから後悔な訳である。
「よりによって、みなとか・・・」
室内からもうひとりの人物が出てきた。
その冷たく光る眼鏡に、見覚えがあった。
みなとの兄、たしか、名前は。
「北斗さん、僕、何も見てませんから」
「・・・・・・いいからとにかく室内に入れ。廊下で上条を騒がせておくな」
北斗はいら立ちを隠そうともしないで、命令する。
みなとがこちらを振り返った。
目で、どうする、と聞いているようだ。
仕方がない、そう覚悟を決めて健がうなづき、二人は生徒会室に入室する。

「みなとくんに会えたというのに、とんだ場面を見せてしまったね」
もじもじとしているのが、最初に部屋から飛び出してきた男で、組みしいていた側。
3年の上条真一(しんいち)、生徒会長だという。
その時点で、あ、この学校もう終わった、と健は天を仰ぐ。
生徒会長、アバンギャルド。
で、組みしかれていたのは、水守家の次男、北斗だ。
生徒会の副会長だという。
「これ、ジンクス発動か?」
こっそりとみなとを小突くと、小さく首を振られた。
「カギ折る前から、こんな感じ。というか会った時からずっとニュートラルにこう」
「何をこそこそと!さっきから気になっていたんだが、その男は誰だい?」
生徒会長の憎しみを一身に浴び、健の気力が何かにごっそり持っていかれる。
「先輩に関係ないです。何してたのか聞きませんから、校内マップを一部ください」
「相変わらずつれない!私の何が不満なんだ?」
どこまで本気かわからない上条の発言に、みなとは主張を繰り返す。
「校内マップ、一部ください」
「・・・北斗、まだ在庫あったっけ」
「なければ刷ればいいだけだろ。原本は必ず保管してある」
面倒くさそうに立ちあがり、北斗は棚の方へ探しに行ってくれたようだ。
「ひどいよ、みなとくん。会った時から、じゃなくて、会う前から私は君のファンなのに」
本当にどこまで本気かわからないが、発言の気持ち悪さは本気でも冗談でも変わらない。
「あー。もういいです。そういうの、ほんといいですから」
取り合わずにみなとは北斗の背中に問いかける。
「北斗さん、ありましたか」
「ちょっと待て」
ごそごそと紙の束をめくり、北斗が後ろ姿でこたえた。
ここで違和感に気づいた。
そういえば、みなとは兄のことを名前で呼んでいる。
複雑な家庭環境上、兄さんとは呼べないのだろうか。
健が勝手に気をもんでいると、生徒会長はあきらめずに食い下がってきた。
「みなとくん、本当に誤解しないでくれよ。俺と北斗とはなんでもないんだ」
「何でもないのにきわどいポーズ取ってたんですか?その方が万倍気持ち悪いんですけど」
「私は君を生涯心の天使とすることに決めた、この誠意を疑うのか!?」
うわ、想像以上にキモイ展開だ。
思わずみなとを凝視すると、視線に気づいたのか、おおげさに肩をすくめてみせた。
「だから!目で語り合うな!誰なんだ貴様!」
「・・・水守のルームメイトです」
「!!」
その一言の与えた影響は、絶大だった。
席を立ちあがらんばかりに、上条が叫ぶ。
「うらやましすぎる!!」
「・・・なぁ、本当、どこまで本気でどこから冗談なんだこの人。境目が見えねぇ」
「それが僕にもわからない。どっちにしろ、いつもこう。だからもう気にしない」
確かに、対応は慣れた感じだった。
「先ほども、みなとくんに会わせろと北斗に詰め寄っていたんだが、頑としてきかないからこう、もみ合いになってだな」
「・・・・真相がわかった方が気持ち悪いんですけど」
みなとのつぶやきに、確かに、と、健は内心同意する。
「北斗の奴め、何故いつも私とみなとくんの間を邪魔するんだ。役に立たん」
吐き捨てる生徒会長に、冷やかな声がかぶせられた。
「邪魔した覚えはない。だがそういう方面で役に立つ気はないと、何回言ったら伝わるんだ」
ほら、と差し出されたA4の紙を、健はとっさに受け取る。
北斗の眼鏡越しの目と、視線があった。
「みなとは学内の地図など承知してる。これはお前用なんだろう?」
そう察した結果らしい。
「ありがとうございます」
「用が済んだら早く戻れ。上条のテンションが上がりっぱなしで迷惑だ」
「一応、僕のせいじゃないってことだけは、念を押しておきますよ」
みなとと北斗のやり取りは、赤の他人の上条と比べても冷やかで、事務的で、それがいっそう違和感をもたらす。
「じゃあせめてポートレートだけでも、撮らせてくれないか」
真顔でそう依頼する上条に、みなとも真顔で対応する。
「何のためにですか」
「僕の心の支えにするためだ」
「お断りします」
間髪いれずにみなとが切り返し、さあ行こうか、と健を振りかえった。
超いい笑顔だ。
「だって!北斗があの写真をくれないから!」
上条の一言に、場が凍る。
「・・・あの写真・・・?」
立ち去ろうとしていた足を止め、思わず健とみなとで3年生二人を振りかえってしまった。
きっと、ものすごく懐疑的な表情なのだろう。
北斗が怯むのがわかった。
「誤解をまねくような言い方するな。別に俺はみなとの写真を持ち歩いているわけじゃ・・・」
「嘘ばかりつくな!先ほども、あの写真をもう一度見せろと頼んだのに拒むから、服をはいででも探しあてようと・・・」
話の方向性が、おかしくなってきた。
「上条先輩、あの、気持ちが悪いからその辺きちんと整理してから午後の授業を受けたいんで」
みなとは冷やかに告げる。
「ちゃんと、説明してくれますか」

あ、怒ってる。


健が初めて見る「怒ったみなと」の横顔だった。







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