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rain* ~BL only~

BLオリジナル小説オンリーブログ。 やおいが生き甲斐。BLは浪漫です!!

12 ジンクスその3「パラソルツリー」 -2-

しとしとと、雨が降る。

かわす言葉に迷い、果たせずにまた沈黙を更新する。

何を話せばいいのか、わからなかった。





さしかけられた傘は、身長差もあって歩きづらかった。
自然と傘の持ち手を奪い、もの問いたげな瞳に視線がぶつかり、うなづくことで答えとする。
傘をさす主導権を得た健は、うつむき加減に隣をあるく少年のうなじを、ちらちらと見ながら考えた。

後輩男子とあいあい傘。
ジンクスは3つ喰らっている。
そしてその後輩は、自分のルームメイトに惚れている。らしい。

いろいろな情報を、入学以降ぶっこまれつづけてきた。
静かな雨が、この不思議な時間が、ふと健に呼吸を思い出させる。
冷静になって、すこし、呼吸を整えるように気持ちをふりわけた。

そう、冷静に。

なったはずなのに。


・・・なんか、すっげぇ、くすぐったい気持ちなのはなぜだ。

足元は雨で悪い。
ゆっくりと図書館へ向かうこの時間が、なんだかそわそわして居心地が悪いはずなのに、もっと続いたら、楽しい、というかうれしい。
彼女との初デートを思い出す。
連想してはいけないものを連想してしまった。

やばい。


「そういえば、吉良って部活なにやってんの」

うっわ、すっげ、くだらない質問した!

自爆を悟った時には遅かった。

「え・・・・?」

急にかけられた第一声がそれだったので、吉良が戸惑っている。
焦ったところで、一度出た言葉は取り返せない。
ただ答えを待つしかない健の、内心の冷や汗状態を知ってか知らずか、吉良はゆっくりと瞬きをしている。
何でもいいから話してくれればいいのに、その沈黙は妙に長かった。

「・・・・っ」


そして唐突に沈黙は破られた。

「はははははは!」
意外と豪快な笑い声だった。
「は、ははははは・・・あははははは」
苦しそうにみぞおちに手をそえ、かすかに前傾姿勢で笑いころげている。
「え・・・?」
今度は健が驚く番だ。
笑いのポイントが全く分からず、どうしていいのかわからない。
「だっ・・・ふじ、わら先輩・・・っおか、おかしいっ」


あははははははっは


――何が!?


よくわからないけれど、少年の笑いは収まらない。
それを見ているうちに、
ふ、と。笑いがこぼれた。


「なんだよ、おま、笑いすぎ!ははは」
「あはははは、だって、だって・・・!」

二人、雨の中でわけもなくばか笑いをする。
なんだこれ。どういうことだろう。
でも、もう、考えてもしょうがない。
身の内からこみ上げる笑がとまらない。


「あははは、そ、そろそろとまれって!」
「せん、ぱいこそ!ふふ・・・あははは」
「・・・・・・・・・・・・何やってんの」

第三者の声が割って入ったとき、二人はそれでもまだ爆笑していた。
みなとが呆れを通り越して冷ややかな目で見ていると、わずかに吉良のほうが早くわれに返る。
「あ、水守先輩・・・・あの、」
言いさして、苦しそうに目じりの涙をぬぐう。
「水守!おれ、おれ、またジンクスやらかしたわー!」
ひいひいと笑いながら健が申告すると、はぁ?とあからさまに怪訝そうな声がよせられた。
それでも、二人のばか笑いはとまらない。
「あはははははは」
「ふ、ふふふふふ」

図書館から出てきたら、雨の中、あいあい傘なんかしてる見知ったシルエットを見かけたので、そのまま近寄ってみただけなのに。
「・・・ばっかみて」
珍しく口汚い感想が出てしまうほど、二人は朗らかに笑い続けている。

みなとは言葉を飲み込む。


―――心配して、損した。










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