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rain* ~BL only~

BLオリジナル小説オンリーブログ。 やおいが生き甲斐。BLは浪漫です!!

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15 好きで気がおかしくなりそう/R18

なぜキスをされているのか。
なぜキスをしているのか。


言い訳はもう、浮かばなかった。







「ん・・・・っ」
いきなり深く口づけられ、反射的に体を押しのけた。
タオルケットははがされ、互いの服越しに体温をわける。
「きど、さん・・・っ」
「・・・っ」
切なげに名を呼びながら、その両手両足を枷として、木戸の体を拘束する。
まさぐられる気配とともに、パジャマの隙間に手が差し入れられた。
やさしく撫で上げられ、びくりと腹の筋肉が委縮する。
それすらなだめるように、掌が肌を滑り続けた。
「すき、です」
口づけの合間にささやかれたのは、いつもと同じ言葉なのに、いつもと同じには聞こえない。
「・・・・!」
暗闇にまだ目が慣れていないとはいえ、感触で、吐息で、何をされているかはわかる。
充てられた熱は、腹部。
傷あとに、唇が這わされている。
「くすぐった・・・っ」
思わず言葉で抗議すると、わざと軽く唇でその個所をはさまれる。
「っ!」
「我慢、して」
意図したわけではないが、それまで避けていた会話が、こんなところで成立した。
「や、でも、くすぐったい…」
両親の部屋は階下だが、それでも声が、音が、万が一響いたらと思うと、いさめる声もしぜん小さなものになる。
「なら、どこにキスしていい?」
からかっているのかと目を凝らすと、存外、まじめな表情の光輝が見える。
ほんのりカーテンの隙間から差す街灯のあかりが、その頬の稜線をたどって浮かべていた。
「どこなら、キスしていい?」
本気で許可を求めているらしい。
言えるはずなどないのだ。聞かれたらだめだとしか答えられない。
だって、こんなこと、きっと、間違っている。
でも、嫌じゃない。
そんな気持ちを、ていねいに説明する余裕などなかった。
「言わないなら、しちゃうよ」
勝手に、と言いながら、音を立てて耳の後ろにキスを落としてくる。
「っ」
ぞくりと鳥肌が立ち、それ以外のかすかな電流が背筋を走った。
ちゅ、とついばむ唇は首筋に降りてきて、くすぐったさとそれ以外の何かに抗おうとするため、木戸が身をよじる。
けれど逃げることは許されなかった。
「だめ。動かないで」
「そんなこと、言ったって・・・っ」
抗議は唇で直接ふさがれる。
熱い。
粘膜同士が熱く重なる口腔で、時折漏れるのはどちらともわからない吐息だけだ。
「っ」
羞恥で、何も考えられなくなる。
油断すれば甘ったるく、鼻にかけた声がもれそうで、それだけは必死にこらえようとするが、苦しい息の合間にひびく声は信じられないほど甘ったるかった。
「や」
やめてくれと、言おうとして声にならない。
ますます熱を帯びてくる自分の吐息を、人ごとのように感じる。
そして、その熱の合間に、呼んだ。
「み、つき・・・っ」
「・・・・・・・・!」
瞬間、光輝の体が震えたのが、わかった。
バッと音がしそうなほどに、急に身を起こした光輝の目が、闇の中でもわかるくらいにきらきらと光っている。
「はじめて・・・」
かすれた声は、どこか呆然としていた。
「呼んでくれた・・・」
そんなささやきと同時に、苦しいほど強く抱きしめられ反駁をゆるされない。
戸惑う。
どう言葉をかけようか逡巡している間に、拘束がゆるみ呼吸が楽になった。
安堵したのもつかの間、依然押し当てられている体の変化に息をのんだ。
まさに今日、こうして他人の熱が高ぶるのを布越しに教えられたばかりだ。
相手がどういう状態なのか、聞かなくてもわかる。
「みつき、待っ・・・」
「好きだ」
切りつける鋭さで、告白がつづく。
「好きだ、大好きだ・・・!」
声は涙で震えている。
先ほど光っていたのは、涙だったのだと、数秒遅れて木戸は気づいた。

そういえば途中から、光輝は敬語ではなくなっていた。
そんなどうでもいいことを思い、意識がそれた瞬間、ありえないくらいに早急な動きで下半身が外気に触れた。
「!!」
一気に脱がされたのだと気づいて、あわてて下ろされた衣服を取り戻そうと伸ばした手は、けれども光輝の掌に握りこまれる。
「光輝っ」
「もう、だめ、絶対むり」
荒い呼吸の合間にそんなことを言われ、木戸は混乱した。それこそこちらのセリフなのに。
けれど続けられた言葉は、木戸をひるませるに十分なものだった。
「もう絶対我慢できないっ」
「な、お前何を言っ」
「好き、もう、」
どうなってもいい。
確かにそう聞こえた。
聞き返すことなどできず、木戸の内に光輝の熱が直接ふれた。
「・・・・っ!?」
北島でさえ、つながなかった場所。
そこにいま、他人の脈を感じる。
それがどういうことか、いくら木戸でもわかった。
嘘だろ、と思うと同時に、押し入ろうとする力と焼けるほどの熱が充てられた。
「・・・いっ」
痛い、という言葉さえ出ない。
本能的に抗おうと、光輝の体を押しのけようと力を込めたのだが、まさかと思うくらい、すでに光輝は『濡れて』いた。
ぐちゅ、という粘着質な水音が、熱を伴って押し入ってくる。
経験したことのない違和感が、激しい痛みを連れてくる。
「い、痛い・・・」
泣き言のようなつぶやきは、泣き声でかき消された。
「好き・・・好きだ・・・っ」
懺悔のような、救いを求めるような切実さで、光輝は好きだと泣いていた。
「・・・」
泣きたいのはこちらこそだ。
けれど。
「好き・・・」
どこか幸せそうにささやかれたその言葉を、もっと聞いてみたいなんて、自分はどうかしてしまったのだろうか。
五月雨のように好きだと言われ続けて、いつしかその言葉は木戸の身の内に積もり続けていた。
それがついに何かの許容量を超えたのだろうか。
「好き」
そういって執拗に、けれど強引な方法で、それでも時間をかけながら、木戸の中に光輝が入る。

つながった部分が痛かったのは、光輝が二度、果てるまで。

その夜、夢中で木戸の身体をむさぼった光輝は、最後には涙が止まらなくなり、果てたその姿勢で、つまり木戸の胸に身を預ける形で泣いた。
やめろと言ってもきかないどころか、四度も中に熱を放たれたのだから、泣きたいのはむしろ木戸の方かもしれない。
かすかに震わせながら泣いている光輝の肩を慰めるように抱きながら、倦怠感を感じて目を閉じた。

今日はやたらと泣いていた光輝が、ようやく悲しいとか悔しいでもなく、もちろん寂しいのとも違う涙になったのが、思いのほか嬉しかった。
そんなことが、自分の胸を温めることに、気付いてしまった。

「好き・・・」

あやすように肩を抱いていると、そんな嗚咽交じりの告白が返ってきた。

「・・・まだ言うか」

もう十分に分かっていた。
なんでこんなことをしてしまったのか、途中で罪悪感のようなものを感じたけれど、それでももう、どうでもいいと言った光輝の言葉に、妙に共感を覚える自分がいた。
もうどうでもよかった。
理由も、始まりも、これからのことも、どうでもいい。
今となっては。

今はただ、この熱に嫌悪どころか安心を覚えていることが、きっと後悔を忘れさせてくれる。






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