木戸とて、答え合わせを望んでいた。
――まず、いつ、自分たちは出会ったのか。
福原光輝という名に憶えがなく、100歩ゆずって、親の都合で苗字が変わったとしても、下の光輝という名に覚えはない。
さらに1000歩ゆずって、名前すら家庭裁判所経由で変わったとしたら、あんなに自信満々に名乗る意味も分からないし、覚えてないんですか、という相手の反応も不可解だ。
秀才が集うこの学校のおかしいところは、どちらかと言うと理屈を追求することに重きを置いて、本質をないがしろにしすぎるところ。
要は、見知らぬ相手が自分を知っている謎を解明したいということが先走り、男が男に恋ごころを告白したことは、この際、脇に置かれていた。
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