本日ただいまより、自らを「ミスターうかつ」とでも名乗った方がよいだろうか。
炭酸飲料のキャップをひねりながら、そんなことを考える。
ぷし、と、気圧が変化する感触と心地いい音がするが、実はそれほど飲みたいわけではなかった。
開けた以上、炭酸がぬけていくのが道理で、それがもったいないから煽る。
のどが渇いたわけではない。
開けてしまったから、飲むしかない。
―――この状況と似ている。
となりで無言のまま地をにらみ、体育ずわりをしている茶色の塊を盗み見しながら、ため息をにがす。
うっかり、口を滑らせてしまった。
だから話したくはないが、話さなければならない。
口を滑らせてしまった以上。
そうでもなければ、一歩も引かない構えをみせた光輝から、逃げるすべなど思いつかなかった。
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