そしてそこから一回転半。
「きどさぁぁん」
情けない声で抗議する光輝を、まるっと無視しながら、木戸も北島も作業をすすめる。
「木戸、そこ数が違う」
「ああ、悪い」
職員室から借りてきた電卓をカタカタ叩きながら北島が指摘をし、集計をしながら木戸が書き留める。
「あとどのくらいだ」
「半分はいったね」
「そうか」
二人の呼吸がぴったりで、それはやはりある程度の年月が織りなす空気で、それを目の前で見せつけられた光輝は、うまれて初めて地団太というものを踏んだ。
「なんで!なんでオレが怒られるんですか!」
「・・・・・。」
「・・・・・・。」
沈黙が返る。
そして静かな空間に、かたかた、ぱらぱら、作業音だけが響きはじめた。
徹底的に、無視。
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